体験・ツアー・観光ガイドの予約サイトと旅行業法

運送・宿泊の手配に踏み込まない設計にして、画面の説明と規約を一貫させ、そのうえで予約・中止・危険・個人データの定めを置きます。

トップページ › 体験・ツアー・観光ガイドの予約サイトと旅行業法
「旅行補助」「旅程の相談」といった曖昧な言葉を役務の定義に入れると、運営者が宿泊や運送を手配しているように読まれるおそれがあります。

このページの要点

  • 運送・宿泊の手配や媒介、企画に当たらず、体験やガイドなどの運送等関連サービスだけを扱うのであれば、旅行業には当たらない(旅行業法2条1項、旅行業法施行要領)。宿泊や送迎の予約代行、特定事業者の紹介料は媒介に当たり得る。
  • 規約では、役務の定義から旅程の作成・手配を除き、運営者は予約・メッセージ・決済の機能を提供するにとどまると書く。予約の成立は当事者の合意とし、決済の完了を成立の要件にしない。
  • 催行中止とキャンセルは、返金の主体・方法・時期を条文で決める。双方の責めに帰さない中止では利用者は支払を拒める(民法536条1項)。危険を伴う体験でも、生命・身体と故意・重過失は免責の対象にしない。
  • 提供元に渡す個人データは、第三者提供の同意を予約の画面で取る。持病などの健康情報は要配慮個人情報に当たり得る(個人情報保護法2条3項・20条2項)。自家用車の有償送迎は禁止事項にする。

最初に結論:「運送・宿泊の手配」に踏み込まない設計にして、画面と規約で一貫させる

結論

体験、アクティビティ、観光ガイドの予約を仲介するサイトは、運送や宿泊の手配を行わず、体験そのものの提供も運営者が行わないのであれば、旅行業の登録がなくても運営できます。旅行業法が規制しているのは、運送または宿泊のサービスについて、報酬を得て、手配や媒介、企画を行う事業だからです。そのため、運営者が気を付けるのは、サイトの機能に「宿泊や送迎の手配」「旅程の作成」「宿泊・運送の提供者への申込み仲介」が入っていないか、規約や画面の説明がそう読めないか、の二点です。そのうえで、予約の成立時点と決済の書き分け、悪天候による催行中止と返金、危険を伴う体験の参加条件、体験を提供する事業者(以下「提供元」)に渡す個人データの整理を、規約とプライバシーポリシーに書きます。

体験・ツアー・ガイドの予約サイトには、次のような形があります。提供元が自分の体験を掲載し、利用者が予約と決済を行う予約サイト。訪日旅行者と個人のガイドを結び付けるマッチングサイト。地域の観光プランを企画し、パンフレットとウェブで紹介する旅行情報サイト。どの形でも、運営者は「場」を提供する立場ですが、サイトの機能が増えるにつれて、運営者が実質的に旅行を手配しているように見える危険があります。

このページでは、旅行業に当たる行為とそうでない行為の境目を一次資料で整理したうえで、規約の書き方、予約・決済・中止の定め、危険を伴う体験の条項、個人データの共有、送迎や通訳との関係を説明します。プラットフォームの規約全体はマッチング・C2Cプラットフォームの利用規約、販売業者等の情報開示などの対応は取引デジタルプラットフォーム消費者保護法への対応で扱っています。

旅行業法の入口:何をすると旅行業になるのか

旅行業法2条1項は、旅行業を「報酬を得て、次に掲げる行為を行う事業」と定義しています。運送・宿泊のサービス(運送等サービス)に関する行為の中心は、次の四つです。1号は、旅行の目的地や日程、運送・宿泊の内容と対価を定めた旅行の計画を作成し、運送等サービスの提供に必要な契約を自己の計算で結ぶ行為(企画旅行)。3号は、旅行者のために運送等サービスの提供を受けることを代理し、媒介し、取次ぎする行為。4号は、運送等サービスを提供する者のために、旅行者への提供を代理して契約し、または媒介する行為。5号は、他人の運送機関や宿泊施設を利用して運送等サービスを旅行者に提供する行為です。

運送・宿泊以外のサービス(運送等関連サービス)は、食事、観光、ガイド、体験などです。これらの手配や媒介は、2条1項の2号、6号、7号で、運送等サービスに関する行為に「付随して」行う場合に旅行業の対象になります。観光庁の旅行業法施行要領(平成17年国総旅振第386号、最終改正令和元年9月14日。以下「施行要領」)は、運送または宿泊以外のサービス(付随的旅行業務)についてだけ手配し、または旅行者に提供する場合(プレイガイド、ガイド等)は、旅行業に該当しない例として挙げています。体験やガイドの予約だけを扱うサイトが、登録なしで成り立つ理由はここにあります。

サイトの機能と、旅行業との関係(目安)

機能旅行業に当たるか理由と注意点
体験・ガイドの掲載、予約、決済の補助当たらない見込み運送・宿泊を含まない、付随的な旅行業務のみ(施行要領 第一 1 3)②)。提供元との契約を運営者が結ばない設計にする
体験と宿泊を組み合わせたセット商品の販売当たり得る宿泊の提供を受けることについての媒介や、企画旅行に当たり得る。包括料金でまとめるとき、対価の内訳が不明確になりやすい
利用者の依頼で、宿泊施設や送迎の予約を代わりに行う当たり得る運送等サービスの代理・媒介・取次ぎ(2条1項3号)に当たり得る
運送事業者のサイトへのリンクを掲載する当たらない見込み(個別に確認)観光庁の事前確認の回答(令和6年4月30日)は、リンクの掲載やパンフレットの手交にとどまり、契約の締結に尽力しないなら、媒介に当たらないとした。成約連動の報酬でも結論は変わらないとされた。宿泊事業者についても、同じ枠組み(媒介に当たるか)で整理されると見られる
利用者の問い合わせに応じ、特定の運送・宿泊事業者を紹介し、紹介料を受け取る当たる同じ回答は、個々の問い合わせに応じて特定の事業者の情報を提供することを、契約の媒介に当たるとした
送客に対する割戻し(キックバック)を宿泊施設から受ける報酬に当たる施行要領は、旅行者から金員を徴収しなくても、割戻しを受けていれば報酬を得ていると認められるとする

表の「当たる」「当たり得る」は、条文と観光庁の資料に基づく整理です。個別のサービスは、事業の実態に応じて判断されます。

報酬と事業性の考え方も、運営者が確認しておく点です。施行要領と観光庁のQ&Aによれば、報酬は、旅行者から金員を取らなくても、旅行サービス提供者から送客の割戻しを受けていれば認められます。事業に当たるかは、営利性、募集の不特定多数性、反復継続性の三つを総合して判断します。留学あっせんのように、旅行業以外のサービスの対価と運送・宿泊の対価を包括して徴収し、運送・宿泊を不可分一体のものとして手配している場合は、報酬を得ていると認められる例として、施行要領に挙げられています。

ウェブサイトを通じた取引についても、施行要領は一つの整理を示しています。旅行者と旅行業者またはサービス提供事業者との間の取引に対して働きかけを行わない場合で、遅くとも予約入力画面から予約確認画面に移るとき(予約入力画面に入力された情報を送信するとき)までに、旅行者と旅行業者またはサービス提供事業者との間の取引になる旨が明確に表示されている場合は、旅行業に該当しないとされています。予約画面の説明の書き方が、法的な評価にも関わるということです。

事務所の書類では

旅行情報サイトを運営し、観光プランの企画も行う会社の規約を確認したとき、旅行業の登録を取得するまでの間は、旅行契約の締結の仲介や手配を行わない旨を、規約に書き分けました。将来、アプリや予約システムを提供する予定があることから、サービスの定義の段階で、情報の提供と、契約の仲介・手配を分けています。

海外の団体留学プログラムの参加規約を確認した案件では、参加費の中に宿泊、送迎、観光ツアーを組み込み、手配料を上乗せして一括請求する形が、旅行業の無登録営業に当たらないかを検討し、旅行部分を登録業者が企画・実施して利用者が直接支払う形や、教育部分だけを受け取る形を、回避策として整理しました。包括料金で運送・宿泊をまとめて販売する設計は、体験の予約サイトにも共通する論点です。

「手配ではない」設計を規約と画面に落とす/登録業者が営むときの表示

機能の設計がそうであっても、規約や画面の説明が「手配する」「旅程を組む」と読めると、評価が揺らぎます。個人のガイドと訪日旅行者を結ぶマッチングサイトの規約を確認したとき、特に次の三点を直しました。

旅行業に見えない規約への改訂例

ガイドの役務の定義

改訂前観光案内、同行、通訳、旅行補助等の役務。
改訂後ガイドがゲストに提供する観光案内、同行、通訳その他これらに付随する役務をいい、旅行契約の締結の媒介、運送もしくは宿泊の手配、旅程の作成または管理その他旅行業に該当し得る行為を含まない。

「旅行補助等」の曖昧な表現が、旅程の提案、店舗や交通機関の手配まで含むように読めるため、含まれない行為を明示する。

運営者の立場

改訂前当社は、ゲストとガイドが契約を締結するためのプラットフォームであり、当事者とはならない。
改訂後当社は、予約申込み、メッセージ交換、決済その他取引に付随する機能を提供するにとどまり、役務自体の提供、媒介、手配、旅程管理その他これらに準ずる行為を行わない。

機能を提供していても、手配をしているわけではないことを書き加える。

予約の定義

改訂前予約とは、ゲストが申し込み、ガイドが承認し、決済が完了した取引をいう。
改訂後予約とは、ゲストの申込みに対してガイドが承諾し、当事者間で役務に関する契約が成立したことが本サービス上で確認された状態をいう。当社は当該契約の当事者とならない。

決済の完了を成立の要件にすると、運営者が契約を成立させているように読める。成立は当事者の合意、決済はその後の処理として書き分ける。

改訂前の欄は、依頼者の原案によくある書き方です。

旅行業の登録を持つ会社が、自社のサイトでマッチングを営む場合は、別の注意が要ります。登録番号を表示すると、利用者は「この会社が旅行契約の当事者だ」と受け取るおそれがあります。そのため、特定商取引法に基づく表記や規約に、旅行業の登録はあるが、このサービス上の取引では運営者は旅行契約の当事者ではないこと、販売主体は体験やガイドを提供する者で、価格は提供者が設定すること、を明記します。サービスが実際にどの取引に関与しているかによって、表示の書き方が変わります。

運営者の立場と、表示の書き方

登録なしのマッチング

旅行業を営まない

  • 規約に、旅行業・運送業・宿泊業の役務を提供しない旨を書く
  • 宿泊・運送に関する機能を設けない
  • 機能を足すときは、旅行業法上の評価を先に確認する

登録ありの会社がマッチング

旅行業者としての取引と区別する

  • サービスごとに、旅行契約の当事者かどうかを明示する
  • 登録番号の表示位置を、マッチングの画面と離す
  • 旅行業約款や取引条件説明書面が必要な取引は、別のページで扱う

宿泊・送迎を組み込む

企画旅行・手配旅行に近づく

  • 旅行業の登録(または登録業者との提携)が前提になる
  • 包括料金にする場合は、内訳と責任の所在を明確にする
  • 旅行業約款による取消料・中止通知の定めが適用される

体験の予約サイトで宿泊や送迎を付加する場合は、付加する機能が運送等サービスに当たるかを、機能ごとに確認します。

予約の成立・決済・催行中止・キャンセルの書き方

体験の予約では、利用者、提供元、運営者の三者が関わるため、返金やキャンセルの定めが分かりにくくなりがちです。利用者から見て分からないのは、誰が返金するのか、いつ返金されるのか、決済手数料や振込手数料は引かれるのか、悪天候による中止と利用者の都合によるキャンセルでは何が違うのか、です。規約には次の点を書き分けます。

予約・中止・キャンセルの定めで書き分けること

場面決めておくこと考え方
予約の成立利用者の申込みに提供元が承諾した時に、利用者と提供元の間で成立する。運営者は当事者にならない決済の完了は、成立の要件にしない。決済は成立後の処理として書く
代金の受領運営者が収納代行をするときは、利用者が運営者に支払った時に、提供元への支払義務を履行したものとみなす代金を預かって分配する設計は、資金決済法との関係を確認する
利用者都合のキャンセル体験ごとのキャンセルポリシーを事前に表示する。時期に応じて段階的な料率にする消費者契約法9条1号の平均的な損害を超えない範囲で。直前ほど他の予約を受ける機会を失う蓋然性が高い
悪天候・災害による中止提供元が安全上の理由で中止したときの返金の有無・額・時期を、体験ごとに明記する双方に責任がない中止では、利用者は代金の支払を拒める(民法536条1項)。返金を否定する定めは、慎重に書く
最少催行人員に達しない中止最少催行人員と、中止を通知する期限を、募集の時点で表示する標準旅行業約款(募集型企画旅行契約の部)17条は、国内旅行で旅行開始日の前日から数えて13日目(日帰りは3日目)より前に通知するとしている。体験単体にそのまま適用されるわけではないが、期限を決めるときの参考にされる
提供元の都合・運営者の判断による中止利用者に全額返金し、手数料も返金する提供元の都合による場合まで、利用者に負担を求めない

標準旅行業約款は、国土交通省告示(令和8年3月9日改正反映版)に基づくもので、旅行業者が企画旅行を行う場合の約款です。体験の予約サイトの規約は、約款の考え方を参考にしつつ、体験の実態に合わせて作ります。

キャンセル料の段階の設計例(数字は例です。実際の料率は、体験の準備費用や枠の埋まりにくさから決めます)

  • 体験日の7日前までキャンセル料なし代金の全額を返金
  • 体験日の前日から2日前まで代金の30%70%を返金
  • 当日、無断欠席代金の100%(準備した費用の範囲内)返金なし

直前になるほど料率を高める理由(他の予約で枠を埋めにくい、仕入れや準備を済ませている)を、キャンセルポリシーに書いておきます。利用者に尋ねられたときは、料率を決めた根拠の要点を説明するように努める必要があります(消費者契約法9条2項)。

催行中止と返金に関する条文例(要旨)

第1項

提供元は、悪天候、災害、感染症の流行、行政機関の要請、安全管理上の理由その他やむを得ない事由があるときは、体験の全部または一部を変更し、中止し、または延期することができる。

第2項

前項により体験が中止されたときの利用料金の返金の有無、返金額、返金方法及び返金時期は、当該体験に適用されるキャンセルポリシーによる。ただし、当社又は提供元に責めに帰すべき事由がある場合、及び最少催行人員に達しないことを理由とする場合は、利用者は、支払済みの利用料金の全額の返金を受ける。

第3項

返金は、利用者が利用料金の支払に用いた方法により、当社が行う。決済手数料及び振込手数料の負担は、前項ただし書の場合を除き、キャンセルポリシーに定める。

「返金は体験ごとの条件による」とだけ書く規約は、返金の主体と時期が分かりません。返金の主体、方法、時期を、条文の中で決めます。

危険を伴う体験:参加条件・危険の引受け・免責の限界

登山、海のレジャー、乗馬、サイクリング、ものづくりなど、体験の中には事故の危険があるものがあります。規約には、利用者が危険性を理解して参加することを書きますが、運営者や提供元の責任を全部免除する書き方には限界があります。消費者契約法8条1項は、事業者が債務を履行しなかったときの賠償責任をすべてなくす条項や、責任の有無を事業者が決められる条項を無効とし、故意または重大な過失があるときの責任を一部だけなくす条項も無効としています。生命・身体の損害を免除の対象にすることは、特に避けます。

危険を伴う体験の規約で決めておくこと

  • 参加条件(年齢、体力、経験、持病、妊娠の有無、必要な装備)を、体験ごとに掲載ページに示す
  • 参加者が、持病、既往症、アレルギー、妊娠その他の安全上配慮が必要な事情を事前に申告し、提供元の指示に従うこと
  • 提供元が、参加条件を満たさない、または安全上の支障があると判断した参加者の参加を断れること。その場合の返金の扱い
  • 危険を理解し、自らの意思で参加することの確認(参加前の同意の方法と記録)
  • 提供元の許認可、保険の加入状況を、提供元が自己の責任で整え、運営者が確認できる範囲
  • 事故や緊急事態が起きたときの連絡先と、運営者への報告の手順
  • 責任の分担(体験の実施は提供元、予約や決済の機能は運営者)と、免除の範囲。故意・重過失、生命・身体を除く

運営者は、提供元の体験の安全性を保証しません。その旨を書くと同時に、提供元に対して、許認可の取得と保険加入の表明を求めます。

運営者の責任の書き方は、三層で整理します。第一層は、体験の実施そのもの、すなわち内容、品質、安全性、許認可は、提供元が負うこと。第二層は、予約・決済・連絡の機能に運営者の落ち度がある場合は運営者が責任を負うこと。第三層は、運営者の責任の上限と、その上限が故意・重過失と生命・身体には適用されないことです。実際の事故では、利用者が提供元に不満を持ち、その責任を運営者にも追及する形で紛争が起こりやすいため、この三層の書き分けが、運営者を守る土台になります。三層の組み立てはマッチング・C2Cプラットフォームの利用規約で説明しています。

レビュー機能を置く場合は、投稿の権利と削除の基準も定めます。体験の感想には、提供元への苦情も含まれます。提供元からの削除の求めへの対応は、投稿の削除依頼と発信者情報開示への備えで説明している考え方に沿って整理します。

提供元に渡す個人データ:同意・共同利用・委託の整理と、健康情報

予約サイトでは、利用者の氏名、連絡先、参加人数、予約内容を提供元に渡します。ここで、提供元への情報の渡し方が、第三者提供なのか、委託なのか、共同利用なのかを整理します。

提供元への情報提供の整理

構成当てはまる場合注意点
第三者提供(本人の同意)提供元が自分の目的(体験の実施、連絡、安全管理)で利用する予約申込みの際に、提供元への情報提供に同意を得る。個人情報保護法27条1項
委託運営者が、利用者から預かった情報の処理を、提供元に任せる提供元が自己の体験の実施のために使うなら、委託とは言いにくい。委託先の監督義務が運営者に残る
共同利用運営者と特定の提供元が、同じ目的で一体として利用する共同して利用する者の範囲を、本人が判断できる程度に明確にし、項目・目的・管理責任者などを、本人に通知するか、本人が容易に知り得る状態に置く必要がある(27条5項3号)。提供元が多数かつ入れ替わるサービスでは、範囲の明確化が難しい

個人情報保護委員会のガイドライン(通則編)は、共同利用では、共同して利用する者の範囲が、本人がどの事業者まで利用されるか判断できる程度に明確であることを求めています。

事務所が体験・アクティビティの予約プラットフォームの規約・プライバシーポリシーを確認したときは、予約を申し込んだ利用者の情報を、予約契約の成立、履行、連絡調整、安全管理、緊急時の対応、本人確認に必要な範囲で提供元に渡すことを利用目的に明記し、予約申込みをもって提供元への提供に同意したものとする構成を採りました。提供元には、提供された情報を利用目的の達成に必要な範囲で使うことを求め、提供後の取扱いは提供元の責任とする旨も書いています。

体験の予約では、参加者の健康状態に関する情報も扱います。持病、既往症、アレルギー、妊娠の有無、身体上の配慮事項などです。個人情報保護法は、病歴や心身の機能の障害があることなどを要配慮個人情報とし(2条3項、施行令2条)、取得に先立って本人の同意を得ることを原則としています(20条2項)。ガイドラインは、病歴を「病気に罹患した経歴」とし、特定の病歴を示すもの(特定の個人ががんに罹患している等)が該当するとしています。アレルギーや妊娠の申告が、すべて要配慮個人情報に当たると決まっているわけではありませんが、内容によって当たる場合があるため、安全管理に必要な情報を任意で申告してもらう設計にし、取得の同意を予約の画面で取るのが確実です。

予約サイトの個人データについて、運営者が決めておくこと

  1. 提供元に渡す情報の項目は何か氏名、連絡先、参加人数、予約内容に限るのか、健康情報も含むのかで、同意の取り方と、提供元に求める管理が変わる
  2. 健康情報は、運営者が保管するのか、提供元だけに渡すのか運営者が保管するなら、安全管理措置と保存期間の定めが要る。体験の実施にだけ必要なら、提供元だけに渡し、運営者は保管しない設計もある
  3. 利用者が外国から利用するとき、パスポートなどの本人確認書類を取得するか取得するなら、利用目的と保存期間を特定する。外国のサーバーを使うなら、外国にある第三者への提供の整理が要る
  4. 提供元が個人情報保護法の義務を負う事業者か小規模な個人事業主でも、個人情報データベース等を事業の用に供していれば、義務を負う。提供元向けの規約に、取扱いの義務を書く

外国にあるサーバーやクラウドの扱いは個人情報の第三者提供と、海外のクラウド・SaaSを使うときの整理で説明しています。

送迎・通訳・同行:白ナンバーと資格の名称に注意する

観光ガイドの予約では、車での送迎や、外国語での案内がセットになることがよくあります。この二つには、旅行業法とは別の法律が関わります。

送迎は、道路運送法の問題です。自家用車(白ナンバー)で、料金を取って人を運ぶことは、許可または登録が必要になる場面があります。国土交通省のガイドライン(国自旅第359号、令和8年6月5日一部改正、同日適用)は、マリンスポーツなどのツアーの事業者が、ツアー利用者を最寄りの駅やバス停、宿泊施設から実施場所まで、無料のサービスとして社会通念上常識的な範囲で運ぶ場合は許可または登録が不要とする一方、ツアーと称していても、実態が単に目的地への運送のみである場合は、許可または登録を要するとしています。また、公的機関が認定または付与する資格を持つ観光ガイドが、ガイドのために人を運送する場合で、運送に特定した反対給付がないときは不要とされています。「運送に特定した反対給付がない」とは、送迎を使うかどうかで利用料に差がない場合を指します。無資格のガイドが自家用車で送迎する場合に、この例外が使えるとは限らないため、規約では、自家用車による有償の送迎を禁止事項にするのが安全です。

通訳案内は、通訳案内士法の問題です。同法2条は、全国通訳案内士が、報酬を得て、外国人に付き添い、外国語を用いて旅行に関する案内をすることを業とすると定めています。一方、同法には、資格のない人が報酬を得て通訳案内をすることを禁じる規定は置かれておらず、禁じられているのは名称の使用です。同法52条は、全国通訳案内士でない者が、全国通訳案内士またはこれに類似する名称を用いてはならないと定めています。ガイドの登録の際には、資格の有無を確認し、資格のない人が「通訳案内士」を名乗って掲載しないようにします。

よくあるご質問

体験の予約だけを扱うサイトでも、旅行業の登録は必要ですか。

運送や宿泊の手配をせず、食事、観光、ガイド、体験といった運送等関連サービスだけを扱うのであれば、旅行業には当たらないとされています(旅行業法施行要領。プレイガイド、ガイド等の例)。ただし、宿泊や送迎の予約を代わりに行う機能や、特定の宿泊事業者を紹介して紹介料を受け取る仕組みを足すと、媒介に当たり得ます。機能ごとに確認します。

宿泊施設へのリンクを載せて、予約ごとに広告料をもらうのは問題ですか。

観光庁の法令適用事前確認の回答(令和6年4月30日、運送事業者の例)は、リンクの掲載やパンフレットの手交にとどまり、契約の締結に尽力しないなら、媒介に当たらず、報酬が成約件数に連動していても結論は変わらないとしました。他方、個々の問い合わせに応じて特定の事業者を紹介すると、媒介に当たるとされました。この回答は運送事業者についてのものです。宿泊事業者との関係でも、契約の媒介に当たるかという同じ枠組みで考えると見られますが、個別のサービスごとに確認します。

悪天候で体験が中止になったとき、返金しなくてもよいですか。

双方の責めに帰することができない事由で体験を提供できなくなった場合、利用者は反対給付である代金の支払を拒めます(民法536条1項)。返金をしない旨を規約に置くと、利用者の権利を制限する条項として問題になり得ます。返金の有無、額、方法、時期を、体験ごとのキャンセルポリシーに書き、規約の本文でもその主体を明確にします。

無資格のガイドが外国人旅行者を案内して報酬を得てもよいですか。

通訳案内士法には、資格のない人が報酬を得て通訳案内を行うことを禁じる規定はありません。禁じられているのは、全国通訳案内士やこれに類似する名称を用いることです(52条)。ガイドの登録時に、資格の有無を確認し、名称の使い方に注意するよう規約で求めます。

予約者の持病やアレルギーの情報は、提供元に渡してよいですか。

安全管理に必要な範囲で、本人が任意に申告した情報を、本人の同意を得て提供元に渡す設計にします。持病などは要配慮個人情報に当たり得るため、取得にあたって同意が必要です(個人情報保護法20条2項)。提供元への提供も、第三者提供の同意(27条1項)の対象として、予約の画面で項目を示します。

あわせて読みたい、関連する別のガイド

あわせて読みたいページ

本ページは一般的な情報提供です。個別のサービスに必要な対応は、提供する機能、取得するデータ、料金の受け取り方、利用者の範囲によって異なります。事務所の書類での扱いとして紹介している内容は、アトラス行政書士法人が作成・レビューしてきたアプリ・Webサービス・プラットフォーム・ホームページの利用規約、プライバシーポリシー、特定商取引法に基づく表記、業務委託契約書などを、個別の事業者が特定できない形に整理したものです。条文・ガイドラインは e-Gov法令検索と各官公庁の公表資料で確認しています(最終確認日:2026年10月18日)。参考: e-Gov法令検索 / 個人情報保護委員会 / 総務省 / 消費者庁 / 金融庁 / 観光庁

ご依頼の前に:事務所の約束

詳しい内容を見る

アプリ・Webサービスの利用規約・プライバシーポリシーでお困りの方は、お気軽にご相談ください。

公式LINEで無料相談する
アトラス行政書士法人 公式LINEの友だち追加QRコード
  1. 公式LINEを友だち追加
  2. 「アプリ・Webサービスの利用規約ガイドを見た」とメッセージを送信
  3. ご相談内容を確認し、LINEでご返信します(365日・深夜や休祭日も通常対応)

相談無料です。料金が発生するのは、お申込みいただいた書類の作成・点検だけです。

LINEで友だち追加して無料相談する

申込フォーム・お電話でもご相談いただけます。

ご依頼・納品の流れを見る